はじめに(※ネタバレ注意)
本記事には映画『MERCY/マーシー AI裁判』のネタバレを含む感想と考察が含まれています。
未視聴の方は、本編をご覧になってからお読みいただくことをおすすめいたします。
ちなみに今回も例によって、お酒を飲みながら鑑賞していたため、多少記憶違いがあるかもしれません。
ただ、AI裁判について考えるには、少し酔っていたくらいがちょうど良かった気もします。
作品について
『MERCY/マーシー AI裁判』は、クリス・プラット主演の近未来SFサスペンスです。
舞台となるのは、AIが司法判断を担う世界。
主人公は警官RAVEN。
ある事件をきっかけに、なんと妻殺しの容疑をかけられてしまいます。
しかもこの世界では、AIによる裁判システム「MADDOX」が稼働しており、証拠と統計から有罪率を数値化している。
感情も情状酌量もない。
ほぼ数値と事実だけで結論を出していくというものです。
RAVENは自らの無実を証明するため、限られた時間の中で真相を追うことになります。
アクション映画かと思ったら、かなりサスペンス
正直、最初はクリス・プラット主演ということもあり、
「SFアクションかな?」くらいの感覚で観ていました。
もちろんアクション要素はあります。
追跡、銃撃、逃走。
テンポも良い。
ただ、この映画が面白いのはそこではなくて、
アクションの中にしっかりサスペンスがあることでした。
誰が何のために。どうやって。
AIは何を見落としているのか。
そして主人公自身が、どこまで真実を理解しているのか。
物語が二転三転していき、かなり引き込まれます。
少し『マイノリティ・リポート』を思い出しました。
未来技術によって「正義」が先回りする世界。
その中で、本当に正しいものは何かを問う構造が似ています。
AI裁判、有罪率98%という怖さ
この映画で私が一番考えさせられたのは、やはりAI裁判です。
AIは事実と証拠を整理します。
感情に流されず、偏見もなく、膨大な証拠データから合理的な結論を出す。
その意味では、かなり優秀です。
作中でも有罪率を数値化する場面があります。
数字で見せられると、人間はかなり弱い。
98%と言われた瞬間、「確実に有罪なんだろうな」と、多くの人が思ってしまう。
でもここが怖いところです。
AIは事実を集めることはできる。
けれど、人間の行動の意味までは完全に読み切れない。
直感。違和感。言葉にならない何か。
感情からしか見えない行動原理。
この映画では、そこが裁判結果を左右していきます。
人間もAIも、どちらも完璧じゃない
観ながら思ったのは、「AI裁判はダメだ」という単純な話ではないということです。
人間も過ちを犯します。
感情で判断する。偏見がある。先入観に流される。
現実の裁判でも、それはゼロではありません。
でも一方で、AIもまた完璧ではない。
結局AIは、人間が作ったものです。完璧ではない人間が作った以上、AIもまた、どこかに限界を持つ。
そう考えるとかなり深いテーマでした。
AIだけでは人間を裁ききれない。でも、人間だけでも膨大な事実を整理しきれない。
だからこそ、共同作業なのだと思いました。
AIが証拠を整理し、人間がその意味を考える。
そのバランスが、一番現実的なのかもしれません。
裁判官も、人の子
この映画を観ていて、妙に納得したことがあります。
「だから裁判官は人間なんだな」
ということです。
法律は事実を扱いますが、裁判は最終的に人間の人生を扱っています。
だから最後に必要なのは、完全な論理だけではなく、人間という生き物への理解なのかもしれません。
裁判官も人の子ですね。
……もちろん、AIに聞かれると少し気まずいですが。
おわりに
この映画を観終わって思ったのは、
もし未来にAI裁判が本格導入されたとして――
私の場合、判決より先に、
「被告、鑑賞時アルコール摂取あり。日頃から酒癖が悪い。」
という記録が提出されそうだな、ということでした。
そしてAIは冷静にこう判定するでしょう。
「判断能力:かなり低下」
「感想:感情過多(涙もろい)」
「結論:映画愛は認められる」
それなら、まあ有罪でも少し納得です。

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