仲良き友と、同じ面接に挑むとき
先日、外国人候補者でルームシェアをしている二人が、同じ企業の面接を受けに来た。
仲良しルームメイト、同じ学校、同じ生活。
当然、準備も一緒にしていたようだ。
だが、面接が始まると――すぐに分かってしまった。
二人の日本語レベルに、はっきりとした差がある。
これは決して才能の差ではない。
勉強に割いた時間や、日本語を使う機会、本人の努力量の違いだろう。
だが、採用の現場は冷酷だ。
二人が同じ屋根の下で暮らしていたとしても、評価は別々。
合格者と不合格者が生まれる。
そしてそのまま卒業までの数ヶ月は同じ部屋で過ごすことになる。
……正直、気まずいに違いない。
採用担当としても、「二人とも採用したいな」と思う気持ちはある。
だが企業は“優しさ”で人を選ぶわけではない。
やはり、努力ややる気を感じさせてくれる人に内定を出したくなる。
ある意味、ルームシェアは小さな運試しだ。
お互いに高め合える仲間を見つけられるかどうかで、就職活動面接での結果も変わる。
そして面接の場で、それが一気に明るみに出ることもある。
面接を終えた二人の顔を見送りながら、私はふと思った。
「今日の夕食で、どんな会話をするんだろう」
慰め合うのか。
励まし合うのか。
それとも沈黙のままなのか。
ルームシェアは“同居する運命共同体”であり、面接は“別々に乗る試験飛行”みたいなもの。
同じ滑走路から飛び立っても、行き先は必ずしも同じではない。
和歌でひとこと
同じ屋根 学びは共に 過ごすとも
面接の間に 分かつ道かな
#採用ひとこと草紙
「採用ひとこと草紙」は、面接や現場で見えた“ひとこと”や“ひと場面”から、笑いと気づきを添えて綴るシリーズです。
今回は、仲良しルームメイト同士の面接風景から。
次回もどうぞお楽しみに。


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