リモコン片手の感想帖 第六幕

リモコン片手の感想帖

リモコン片手の感想帖 第六幕『イット・フォローズ』を観た夜に

はじめに(※ネタバレ注意)

本記事には映画『イット・フォローズ』(原題: It Follows)のネタバレを含む感想が記載されています。
まだ未視聴の方は、本編をご覧いただいてからお読みいただくことをおすすめします。
ちなみに私は、例によってウイスキーのロックを片手に鑑賞していました。酔いと恐怖のダブルパンチは、なかなかスリリングでした。


あらすじ

ジェイ(マイカ・モンロー)は恋人のヒューと関係を持った直後、クロロホルムを嗅がされ、呪いを移されたことを知らされる。
その呪いは“それ”と呼ばれる存在に追いかけられるもので、ただゆっくり歩いて近づき、捕まれば殺されるというもの。“それ”は呪われた者にしか見えない。
ジェイは仲間とともに逃げ、戦い、やがてプールでの決戦を迎えるが……物語の結末は曖昧なまま幕を閉じる。


考察と感想

この映画を観終えてまず感じたのは、「ただ歩いてくるだけなのに、どうしてこんなに怖いのか?」ということでした。
理由は明快で、観客自身が“それ”を探す参加者にされてしまうからです。
画面の片隅に映る人影が本当に“それ”なのか、ただの通行人なのか。主人公たちが気づかない間も、こちらは必死に探してしまう。
まるで間違い探しをしているような緊張感が、恐怖と没入感を高めていました。

また、性交によって呪いが移るという設定はショッキングでありながら、寓話的でもあります。
「死は必ず訪れる」という真理を、思春期や性を通じて突きつける。

もし自分がジェイだったら? 正直、無理です。耐えきれずリタイア。
「死の訪れ」が背後からずっと歩いてくるなんて、メンタルが持ちません。
ただし、時間がある限りは生き延びられるわけで、そこにほんの少しの安堵も芽生える。
この相反する感情を観客に体験させるのが、本作の最大の功績だと思いました。

そして最後のラストシーン。ジェイとポールが手をつないで歩く後ろに“誰か”が映っている。
あの余韻が秀逸で、「終わったのか? まだ続いているのか?」と観客に問いを残す。
ホラーの終わり方としては、最高に不穏でした。


終わりに

ホラー映画の派手な演出に慣れていると、ただ歩いてくるだけの“それ”は逆に異質で新鮮でした。
その不気味さと「視聴者も巻き込む」仕掛けが重なり、ホラー好きにとって忘れられない一本になるはずです。
続編は蛇足になりそうですが、この一作だけで十分に完成されています。
なお、鑑賞後に夜道を歩くときはご注意を。
私は夜遅くの帰宅途中、背後に人影を見つけて心臓が止まりかけました。相手側もこちらの「ビクッ」に驚いていて、ダブルで恐怖体験でした。


映画予告編

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