はじめに(※ネタバレ注意)
本記事には、インド映画『きっとうまくいく(3 Idiots)』のネタバレを含む感想と考察が含まれています。
未視聴の方は、ぜひ本編をご覧になってからお読みいただけると幸いです。
ちなみに今回も、例によってお酒を飲みながら鑑賞していたため、記憶の曖昧な部分や感情寄りの解釈があるかもしれません。どうか温かくご理解ください。
作品について
『きっとうまくいく』は、インド映画の中でも特に有名な一本で、
私が「インド映画って、こんなに面白いのか」と感じるきっかけになった作品です。
歌って踊る、というインド映画らしい要素はもちろん健在ですが、
それ以上に印象に残るのは、社会の仕組みや価値観が物語の中に自然と組み込まれている点でした。
競争社会という背景
この映画で特に考えさせられたのは、インドの競争社会です。
人口が多い社会では、多数の中から抜きん出なければ仕事にありつけない。
そのために、親が借金をしてでも子どもを大学に行かせる。
「学歴=生存戦略」という構図が、かなりシビアに描かれています。
これは決してインドだけの話ではなく、
日本で働く外国人の方々の中にも「家族を代表して出稼ぎに来ている」という人が少なくありません。
映画を観ていて、その現実と重なる部分が多いと感じました。
子どもにのしかかる重圧
親の期待、社会の期待、将来への不安。
それらが一気に子どもへとのしかかる構造は、見ていて正直つらい部分もあります。
作中では、自ら命を絶ってしまう学生も描かれますが、
それは「学校が悪い」「誰かが悪い」と単純に切り分けられる問題ではありません。
社会と個人の間で生まれてしまう歪み。人手過剰という状況が生む、どうしようもなさ。
そうした現実が、コメディの中に静かに混ざっているのが、この映画の強さだと思います。
それでも、この映画が明るい理由
重たいテーマを扱いながらも、『きっとうまくいく』が暗くなりすぎないのは、
主人公ランチョーの存在があるからでしょう。
彼は名前こそ借り物ですが、
自分の考えを曲げず、学ぶことそのものを楽しみ続けた結果、成功者になった人物です。
「良い成績のために勉強する」のではなく、「知ることが楽しいから学ぶ」という姿勢。
それを最後まで貫いたのが、印象的でした。
歌と踊りの力
やはりインド映画といえば、歌と踊り。
この作品も例外ではなく、曲は自然と口ずさめてしまいます。
難しい理屈よりも、感情に直接届く。
その力があるからこそ、重いテーマも観客に届くのだと思います。
おわりに
「成功しなければ意味がない、という社会」と、
「それでも自分のやりたいことを信じて進む個人」。
この映画は、すべての人に向けた応援歌のように感じました。
…とはいえ、観終わったあとにインド料理を食べたくなるのは、きっと私だけではないはずです。
次に観るときは、カレーとラッシーを用意しておこうと思います。


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