※本記事は、日常のトラブルを題材に「法律の考え方」を雑談として整理するものです。
記載内容の正確性・最新性は保証できませんし、個別案件への法的助言もできません。
実際に被害が疑われる場合は、消費生活センター(188)や弁護士などの専門家にご相談ください。
……そして何より、私は裁判官ではなく、一般人です。必要に応じて専門家や関係機関にご確認ください。
◆ 開廷:『◯千円でいけます』が一番やっかいな理由
街でよく聞く、あの魔法の言葉。
「◯千円でいけますよ」
これが厄介なのは、金額が安いからではありません。
厄介なのは、“何が含まれていて、何が含まれていないか”が不明な点です。
つまり、客としてはこういう状態になります。
「合計が見えないまま、契約に足を踏み入れる」
本日の争点はここです。
「ぼったくりはどこから違法で、未然にどう防げるのか」。
まず前提:高額=即違法ではない
先に結論を言ってしまうと、“高いだけ”では違法にならないことがあります。
たとえば、事前に料金や条件がちゃんと説明されていて、本人も理解して入ったなら、
「え、思ったより高い……」は法律の世界では弱いことがある。
では、どこから違法になりやすいのか。ここからが本番です。
違法になりやすいライン①:説明がウソ(不実告知)
■ 消費者契約法:不実告知(ざっくり)
消費者契約法の考え方として、「重要な点についてウソを言って契約させた」場合、
消費者側が契約を取り消せる(取消しが主役)場面があります。
ぼったくりの典型はこうです:
- 「◯千円で全部込み」→ 実際は別料金だらけ
- 「追加料金なし」→ 追加料金だらけ
- 「飲み放題」→ 飲み放題の定義があいまい(カレーは飲み物か?)
ポイントは、“客が誤解するような説明だったか”。
「言った・言わない」以前に、合理的に誤解させたかが争点になりがちです。
逆に言うと、説明が雑で曖昧なほど、客は誤解しやすい。
だからこそ“質問”が私たちの防具になります。
違法になりやすいライン②:大事なことを黙る(重要事項の不告知)
■ 消費者契約法:重要事項の不告知(ざっくり)
「ウソは言っていない。でも、肝心なことを言っていない」
これが重要事項の不告知のイメージです。
たとえば、
- 入店前に「料金体系」を言わない
- 「サービス料」「指名料」「延長」「チャージ」などの存在を言わない
- 「1杯ごとに価格が跳ねる」ルールを言わない
- 「キャンセル不可」「退店条件」などの縛りを言わない
ここでのコツは一つ。
“大事なことほど先に聞く”です。
なぜなら、後から聞くと「説明しましたよ?」が発生しやすいから。
法律の世界は、時にメンタル勝負になります。
なので、聞き方を事前に用意しておくのが正解なようです。
料金の話が「刑法」っぽくなる瞬間
次は、金額の問題ではなく“自由”の問題です。
もし店側の態様が、「断れない」「帰れない」「怖い」になったら、
それは消費者契約法よりも、刑法の話に寄ってきます。
■ 強要罪(ざっくり)
典型はこれです:
脅す・圧をかけるなどして、やりたくないことをやらせる。
例:
- 「払わないならどうなるかわかってるよね?」
- 「警察呼ぶ? じゃあこっちも呼ぶけど?」と威圧
- 退店しようとしたら、複数人で囲んで話を続けさせる
ここでのポイントは、“自由な意思”が削られたかです。
■ 監禁罪(ざっくり)
監禁は「手錠」だけではありません。
実質的に出られない状況にすると、問題になり得ます。
例:
- 出口を塞ぐ
- 「会計が終わるまで出るな」と物理的・実質的に制限
- 店の奥に連れていき、自由に動けない雰囲気を作る
■ 恐喝罪(ざっくり)
恐喝は、脅して金品を取るイメージです。
例:
- 「払わないなら家に行く」などの脅し
- 「会社に連絡する」「晒す」などの圧力
- 恐怖で判断力を奪い、支払いをさせる
もちろん、実際にどれに当たるかは状況と証拠次第です。
ただ、少なくとも言えるのは、“料金の話”が“自由の話”になった瞬間に危険度が跳ね上がるということ。
ここから先は、無理に交渉するほど不利になりやすいです。
被害者にならないために:入る前に聞くべき質問テンプレ
酔った私たち正気を保てるか、わかりませんが、一番知りたいのはここだと思います。
「どう聞けばいいのか」「何を確認すればいいのか」
私なりの結論はこれです:“合計”と“追加”を潰す。
■ まず最初に聞く(合計の確定)
- 「合計でいくらですか?(税込みで)」
- 「その金額に何が含まれていますか?」
- 「時間は何分(何時間)で、その金額ですか?」
■ 次に聞く(追加料金の地雷除去)
- 「追加料金が発生する条件を全部教えてください」
- 「チャージ/サービス料/指名/延長はありますか?」
- 「1杯ごとの値段は固定ですか?メニューを見せてください」
■ 最後に聞く(撤退ルールの確保)
- 「途中で帰る場合、料金はどうなりますか?」
- 「キャンセルや退店の条件はありますか?」
- 「会計は明細出ますか?」
このテンプレを使うと、相手の反応が分かりやすい。
質問に普通に答える店は、少なくとも「説明する気」はあります。
逆に、嫌な顔をする店は、だいたい“嫌な理由”がある。その時点で、吐くふりをして撤退が正解です。
曖昧にされたときに気をつけるサイン
- 「大丈夫大丈夫」で済ませる
- 「みんなそうしてる」しか言わない
- 「入ればわかる」
- 「細かいこと気にしないで」
- 合計を言わず、単価だけを言う
これらは、法律的にどうこう以前に、契約として不安定です。
契約が不安定な場所でも酔ってるとつい。それが一番危ない。
もし入ってしまったら:現実的な動き方
もし「やばいかも」と思ったら、一人で戦わないが基本です。
可能なら:
- 明細を求める(メニュー・内訳)
- 録音・メモ(できる範囲で、逆に詰められることもあるが、それはそれで)
- 安全確保を優先(無理に粘らない)
- 後から相談:消費生活センター(188)など
ここも繰り返しますが、状況によって最適解は変わります。
危険を感じたら、正論より吐きながら退避です。
判決
「◯千円でいけます」という言葉は、
金額の提示ではなく、あなたの質問力を測る試験。
合格案は良いながらでも聞きましょう。
「合計いくらですか? 追加は? 明細は?」
そして相手が曖昧に笑った場合――
財布ではなく、足を半歩後ろへ先に動かすことに意識を向けましょう。
なお、撤退した夜に使う予定だった数万円は、コンビニでプリンを買っても余る。
それが一番、平和でいつもより甘く感じられます。


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