名刺だけ配ったら、退場になった話。
~資料は配ってません、ええ、本当に~
企業説明会。
そこは若者と企業が真っすぐ向き合う、未来と希望の交差点。
そんな場に、私は営業挨拶でお邪魔した。
……といっても、ルールはちゃんと守った。
【ちゃんと読んでた】「資料配布は禁止」と。
パンフレット・チラシなどの配布は禁止。
よし、了解。
私は潔くすべての資料を置き、
名刺だけをポケットに忍ばせて、会場に入った。
名刺は資料じゃない。
名刺は“挨拶”だ。文化だ。
そう信じて、そっと数社にお声がけした。
【静かに、控えめに】名刺だけで勝負
「こんにちは、資料は配れないと伺っておりますので、名刺だけ…」
「ご挨拶だけで失礼いたします…」
なるべく目立たず、丁寧に。
自己紹介+名刺、という形で、ささやかに挨拶をしていた。
【しかし現実は突然に】係員登場
優しい顔をした係員の方が、穏やかにこう言った。
「恐れ入りますが、営業行為はご遠慮いただいておりまして…」
えっ。
「いやでも、“資料配布は禁止”って書いてたけど…営業禁止とは…」
心の中で全力反論する私。
だが、表情は崩さない。
なぜなら私はビジネスマン。笑顔の仮面は標準装備。
【その時、彼はいた】出口で仁王立ちの管理責任者
退場を促され、出口へ向かう私。
その先に立っていたのは、明らかに“上の人”っぽい男性。
腕を組み、まっすぐこちらを見ている。
笑顔でもなく、怒りでもなく、完全なる「管理の目」。
私が軽く会釈すると、ほんのわずかにうなずいてくれた。
会場を出るまで、見送ってくれた。
あのときのあの無言の仁王立ち。
一生忘れないと思う。
【成果】
- 資料配布:ゼロ(これは守った)
- 名刺配布:3枚
- トラブル:1件(でも穏やか)
- 今後の説明会参加:白紙(という名の黒)
【教訓】
- 名刺も“資料”になるときがある
- ルールより空気、空気より判断、判断より権限
- 管理責任者は出口に立っている
- 笑顔で退場すると、意外と気持ちは軽くなる
そして次回に向けて。
次は何を配ればいいのだろう。
いっそ、笑顔だけを配るという戦法に切り替えるか。
でもそれすら「営業スマイル」と言われたら、
もう私は営業マンを名乗れない。
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