味わいひと匙|一杯目:紅茶にプレミアムはあるのか?

味わいひと匙

私は、紅茶をよくティーバッグで飲む。
茶葉を詰めてお湯を沸かすよりも、市販のティーバッグをマグカップに放り込んでお湯を注ぐくらいがちょうどいい。
手間をかけなくても、香りがふわっと立ち上がるその瞬間に、すでにひと息つけている。

そんな何気ないひとときに、ふと思ったことがある。

紅茶にも「何年物」とか「プレミアム」ってあるのだろうか?

たとえばワインなら、熟成の度合いや収穫年、使われたぶどうの産地などで、
「これは当たり年だ」「このシャトーの〇〇年はすごい」と語られる。
ぶどうにも“年”があるのは知っていたけれど、
ワインは熟成という時間が風味を育てることにも価値があるのだという話を、
清水健一さんの著書『ワインの科学 ―「私のワイン」のさがし方』をAudibleで聴きながら、あらためて深いなと思った。

ちなみにその本はこちら(Amazon):
『ワインの科学 ―「私のワイン」のさがし方』
清水健一(著)
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では、紅茶はどうなのだろう?

少しだけ調べてみたところ、紅茶にも「旬」があるという。
たとえばダージリンなら、春摘み(ファーストフラッシュ)、夏摘み(セカンドフラッシュ)、秋摘み(オータムナル)という区分がある。
とくにセカンドフラッシュは香りが豊かで“紅茶のシャンパン”とも呼ばれ、
まさにダージリンの魅力が最も引き立つ時期なのだろう。

また、一部の茶園で手摘みされた希少な茶葉は「シングルオリジン」や「限定ロット」としてオークションにかけられ、
高額で取引されることもある。
こういったものは、確かに“プレミアム”と呼ぶにふさわしいのかもしれない。

ただ――
市販のティーバッグにも「プレミアムブレンド」「贅沢仕立て」と書かれているものがある。
実際に香りが少し立っている気もするが、それって香料のおかげなんじゃ……と、つい思ってしまったこともある。

結果的にどうだったかというと、
難しい話は、飲んでいるうちに、香りと一緒にどこかへ消えていった。

「これはいい香りだな」とか、「今日はちょっと濃いめが美味しいな」とか、
そんな感覚だけで、じゅうぶん一杯を楽しめる。

考えすぎて、茶葉が渋くなる前に。
今日もまた、ひと匙の時間を味わっていこう。

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